「細胞を創る」研究会

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「細胞を創る」研究会会長からのご挨拶(H27)

SHIMIZU
清水義宏
理化学研究所
生命システム研究センター
(QBiC)

近年の生命科学分野に関連する科学技術の発展はとにかく目覚ましく、私たちの生命に対する理解の解像度は飛躍的に向上しました。膨大なゲノム配列情報とその産物であるタンパク質の構造情報をはじめ、それらの量的な理解、コンピュータの計算速度の向上による生命現象のシミュレーションによる理解など、私たちは生命に関するたくさんの情報を取得することができるようになりました。こうしたたくさんの情報を「知る」と、今度はその情報を活かして何かを創りたい・生み出したいといった欲望が湧いてくるのはある一定の層の人たちの性ではないでしょうか。本研究会はそうした人たちが集まり、その欲望をぶつけあう集会なのだと考えています。私たちが研究により得た知見を医療や産業など、社会にフィードバックしていくことはもちろん重要なことですが、そうした活動においても、内なる欲望・願望がないと大したものは生まれません。だからこそ本研究会ではこうした欲望のぶつけあいを大事にして、それを発展させていきたいと考えています。

一方で、生命または生命の基礎をなす細胞を私たちが思い通りに創り、また、それに準じたありえた生命を創り出していくためにはさらなる情報の解像度の深化や、それらを創り出すための技術基盤を確立していくことも同じように重要となってきます。また、そうした技術の成熟にともない、私たちの生活を脅かしうる技術の誕生というものを想定し、議論していくことや、それらを通じて、私たちの研究活動と社会とのつながりを深く考えていくことも重要な活動の一つです。本研究会ではそのような多彩な活動を広く支え、また関連する知識をお互いに共有していくために、様々な専門分野を持つ方々の参加をお待ちしています。

今年度も例年通り多彩なセッションを用意し、11月に「細胞を創る」研究会8.0を開催する運びとなりました。本研究会における意見交流・学際交流を通じ、将来的にたくさんの花火が打ち上がることを期待して準備を進めてまいりますので、皆様の積極的な参加・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

平成27年4月
「細胞を創る」研究会 会長
清水義宏