「細胞を創る」研究会

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「細胞を創る」研究会会長からのご挨拶(H28)

IWASAKI
岩崎秀雄
(早稲田大学理工学術院)

「細胞を創る」研究会というのは,色々な意味で不思議な名前の研究会です。通常の学会,たとえば合成生物学研究会だとしたら,合成生物学という学問に関する研究会だとすぐわかります。「細胞を創る」は文なので,ある意味野暮ったい研究会の名前とも言えましょう。

しかも,カッコ付きになっています。これもまた野暮ったさを増長させているわけですが,これは「細胞を創ることを目指す研究会」ではなく,「細胞を創ることを巡って,あれこれ意見交換・情報交換をするための研究会」という意図が込められています。もちろん,主体は「細胞を創る」ことを目指す研究者がマジョリティを占めていても当然なのですが,一歩引いて,その活動の持つ社会的・文化的な意味を,批判的な検討も含めて内包しよう,という趣旨でした。

この研究会を準備し始めたのは,2005年頃のことです。Synthetic Biologyという言い方はありましたが,訳語がまだ定着しておらず,「合成生物学」と呼ぶよりも「構成的生物学」という呼び方のほうが妥当という意見が大勢を占めていたような時期でした。

本年度は11/21-22に大会を早稲田大学にて準備しています。「細胞を創る」研究会9.0と題されてはいますが,「研究会の沿革」を見ていただければ分かるように,「細胞を創る」研究会0.0というプレイベントが2007年に開催されています。その意味では,暫定的に10回目を迎える,と言ってもよいでしょう。「研究会の設立趣意書」は,この研究会0.0の際に公表されたものでした。いま読み直してもなにも色褪せたところがない文章だと思います。まだご覧になっていない方,あるいは久しくご覧になっていない方,是非ご覧いただければと存じます。

今年度も,「細胞を創る」研究の最先端について活発に議論していただき,多くの実りが得られるような大会になりますように準備をしております。と同時に,この10年間の流れを少し意識して,「細胞を創る」ことの歴史的・思想的な意味を改めて捉えなおすような機会にもなればと思っております。

皆様の積極的な参加・ご協力をよろしくお願いいたします。

2016年5月
「細胞を創る」研究会 会長
岩崎秀雄