「細胞を創る」研究会会長からのご挨拶(H29)
齊藤博英
(京都大学iPS細胞研究所)
「生命はこの宇宙で一体どのように誕生して、これからどのような運命をたどっていくのか? また、生命のように振る舞う“何か”を創り出すことは果たして可能なのか?」誰しも一度はこのような疑問を胸に抱いたことがあるのではないでしょうか? 「細胞を創る」研究会は、将来役にたとうがたつまいが、遥かな生命に想いを馳せた時に私たちが感じる、あるいは感じていた「ワクワクする疑問」を皆で共有し、「生命とは何か」という途方もない課題に様々な角度から挑戦する場ではないかと思っています。
では何をもって、「細胞(みたいなもの)を創った!」といえるのでしょうか? 人によって「細胞みたいなもの」の捉え方は様々です。本研究会の参加者のバックグラウンドは多岐に渡りますが、生命をみつめる多様な視点と研究の進め方に、時にはっとさせられることがあります。よく研究会に初めて参加した方が、「私は細胞を創る研究をしていないのですが…」と言われることがあります。私は、それで全然構わないと思います。異なるアプローチで生命を理解、制御、構築したい科学者、人文学者が集まり、熱い議論を交わし、会の終了後にそれぞれの人が「ようわからん話もあったけど面白かったな〜」と呟きながら、“何か”を持ちかえり家路につく。そのような会であってほしいと願います。
2017年は公式に本研究会の10周年で、秋の京都において10月19、20日に開催します。この時期の京都は混みますので、ぜひお早めにカレンダーに記入し、宿をご予約ください!生命の理解を深める上での構成的なアプローチは、今後益々その重要性を増していくのではないかと思います。今回は、生命の起源、人工細胞、哺乳類合成生物学、生命理論、生命と人文学、に関わる最先端の研究を紹介する多彩なセッションを設ける予定で、鋭意準備を進めております。ぜひこの10周年の機会に京都へ足をお運びください。新しい生命研究分野に興味がある研究者、学生の皆さんの参加を心から歓迎いたします。
平成29年3月
「細胞を創る」研究会 会長
齊藤博英